百人一首に対して皆さんはどのようなイメージをお持ちでしょうか?
私は小学校高学年ぐらいまではずっとお正月になると毎年親戚が集まり、皆で百人一首遊びをしていました。
いつも読み手は今は亡き祖父で、取るメンバーは大人も子供も関係なくしのぎを削っていました。
とても楽しかったのを覚えています。
時代は「平成」が間もなく終わり、もうすぐ「令和」になろうとしています。
昨今の状況の変化は著しく、ものすごいスピードで進化を遂げています。
AI(人工知能)、VR(ヴァーチャルリアリティ)、AD(自動運転)、virtual currency(仮想通貨)など
様々な技術があっという間に世の中に出現してきたようにも感じてしまいます。
このように進歩発展著しい昨今ですが、日本古来の文化も大切にし
「古きを訪ねて新しきを知る」といった心情を大切にしていきたいものです。
目次
実は海外で百人一首が密かに人気?!
今回百人一首の英訳に挑戦しようと思ったきっかけになったのが
あるテレビ番組で海外の、確か若いフランス人女性だったと思うのですが、日本の百人一首が好きで日本の競技大会に出演して勝ち進むといったドキュメンタリー観たことです。
そしていろいろ調べてみた結果、日本のアニメ「ちはやぶる」が海外のテレビ番組で放映されたのをきっかけに爆発的に人気が出たようです。
「ちはやぶる」をご存知の方は多いと思いますが、百人一首に青春をかける高校生が主人公の番組です。
なんでも50か国以上でこのアニメは放送されたそうです。
その結果、こんなにも世界で人気になったのですね。
日本のアニメ恐るべしです!
それではさっそくこれから百人一首の英訳に挑戦していきたいと思います。
英語の文法表現も百人一首と共に学べるように工夫してみました。
口語表現をどう訳すか難しそうですが、とりあえずやっていきます。(どうなることやら・・・)
百人一首の英訳にチャレンジ
アットランダムにピックアップして実施していきます。
英語の文法を百人一首と共に学習していきましょう。
秋の田の かりほの庵の 苫をあらみ わが衣手は 露にぬれつつ
作者
天智天皇
現代語訳
秋の田の側につくった仮小屋に泊まってみると、屋根をふいた苫の目があらいので
その隙間から忍びこむ冷たい夜露が、私の着物の袖をすっかりと濡らしてしまっているなぁ。出展:https://hyakunin.stardust31.com 百人一首の風景
※苫の目があらい→茅葺の屋根が粗い
ひとことコメント
かつては農民が、泊まりで田んぼの見張り番をしていたそうです。
農民の日常と晩秋の静寂を表しています。
英訳 文法メインで解説していきます
When I stayed in a temporary hut made by the side of the autumn field,
接続詞、~の時 仮の 受け身、~された(秋の田の側に作られた小屋)
秋の田の側につくった仮小屋に泊まってみると
The cold night dew (that creeps in from the gap) completely wets the sleeves of my kimono
接続詞のthat、その前の語句を説明している
その隙間から忍びこむ冷たい夜露が 私の着物の袖をすっかりと濡らしてしまっているなぁ。
because the roof of the moss is rough.
接続詞、~なので
屋根をふいた苫の目があらいので
春すぎて 夏来にけらし 白妙の 衣ほすてふ 天の香具山
作者
持統天皇
現代語訳
もう春は過ぎ去り、いつのまにか夏が来てしまったようですね。香具山には、あんなにたくさんのまっ白な着物が干されているのですから。
出展:https://hyakunin.stardust31.com 百人一首の風景
※天の香久山とは現在の奈良県橿原市にある山
ひとことコメント
持統天皇は飛鳥時代の女帝です。
令和で話題沸騰中の万葉集の歌人としても有名です。
現在の奈良県の橿原市に存在していた藤原京ですが
持統天皇がそこから見える天の香久山を見ながら、庶民の生活と季節の移り変わりを表した詩です。
英訳
Spring has already passed, summer has come to someday.
現在完了,have+過去分詞(完了) 現在完了(継続)
春は過ぎ去った(もう今は春ではない) 夏は来ている(今も継続して夏である)
もう春は過ぎ去り、いつのまにか夏が来てしまったようですね
Because Mt. Kagu has so many pure white kimono dried out.
第5文系 S V O C
O=C 干された真っ白い着物
香具山には、あんなにたくさんのまっ白な着物が干されているのですから。
田子の浦に うち出でてみれば 白妙の 富士のたかねに 雪は降りつつ
作者
山部赤人
現代語訳
田子の浦の海岸に出てみると、雪をかぶったまっ白な富士の山が見事に見えるが、その高い峰には、今もしきりに雪がふり続けている。
出展:https://hyakunin.stardust31.com 百人一首の風景
※田子の浦は現在の静岡県にある海岸
ひとことコメント
山辺赤人は三十六歌仙の一人です。
田子の浦から見える富士山の美しさを賛美した詩です。
英訳
When I go out to the coat Ura of Tago, I can see the beautiful white Mt. Fuji covered in snow.
分詞,~された(雪で覆われた富士)
田子の浦の海岸に出てみると、雪をかぶったまっ白な富士の山が見事に見えるが
And It is still snowing on that high peak.
進行形,be動詞+動詞ing(今も降り続いている)
その高い峰には、今もしきりに雪がふり続けている。
花の色は 移りにけりな いたづらに 我身世にふる ながめせしまに
作者
小野小町
現代語訳
桜の花の色は、むなしく衰え色あせてしまった、春の長雨が降っている間に。
出展:https://www.ogurasansou.co.jp
※古典では単体で「花」は桜の花を指す
※いたづらには現代語でむなしく
ひとことコメント
絶世の美女と言われていた小野小町ですが、桜の花の色褪せていく様子と自身の老いを照らし合わせ、感傷に浸っている詩です。
英訳
During the long rain of spring, the color of cherry blossoms has faded away.
前置詞,~の間(前置詞は後ろに名詞しか持ってこれない性質を持つ) 現在完了,継続(ずっと~している)今も継続していることを表す
春の長雨が降っている間に桜の花の色は、むなしく衰え色あせてしまった。
君がため 春の野にいでて 若菜摘む わが衣手に 雪は降りつつ
作者
光孝天皇
現代語訳
あなたのために春の野に出て若菜を摘んでいましたが、春だというのにちらちらと雪が降ってきて、私の着物の袖にも雪が降りかかっています。
出展:https://hyakunin.stardust31.com 百人一首の風景
※若菜は薬草の意味
ひとことコメント
光孝天皇が自ら、誰かのために若菜を摘みに出かた時の詩です。
気さくで優しいお人柄の方だったそうです。
英訳
I went out in the spring field for you and picked young vegetables.
あなたのために春の野に出て若菜を摘んでいました。
Although it was spring, it snowed a bit and snow on my kimono sleeves.
接続詞,だけれども=even thou 天気の主語はit a bit=a little,a little bit (どれもほぼ同じ意味です)
春だというのにちらちらと雪が降ってきて、私の着物の袖にも雪が降りかかっています。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
私なりに頑張って英訳してみました。
皆さんでしたらどのように訳されるでしょうか?
ちょっと直訳しすぎたかな・・・との反省点もあります。
いずれにしても、百人一首を通じて英語の文法を解説してみましたので
少しでも面白いと思って頂けたら幸いです。